伝統的なP90の構造は、ピックアップの底に2枚のバーマグネットを配置して、スチール製のポールピースがピックアップの上面に磁力を伝達する形で磁界を形成します。このマグネット・フィールドのデザインはG社ギター特有のエッジの落ちた丸いトーンと鼻のつまったようなフィルター感を生み出しています。

ところがこうしたサウンドは演奏するジャンルによっては抜けが悪く、ギターのサウンドはバンドサウンドの中に埋もれがちです。バーマグネットを使った磁界デザインではどうしても中域にフィルター感が出てしまい、音がこもりやすくなるためです。

P-90ESはRetroToneの得意とするJMピックアップからヒントを得て、バーマグネット方式ではなくポールピース自体を磁石にしたマグネット・ポールピース方式を採用することで、非常に立体的でヌケのよいトーンを実現しています。

クリアで曇りの無いサウンドは、指先のニュアンスにリニアに反応するばかりか、ボリューム操作ひとつでクリーンからクランチまで幅広いサウンドメイクを実現することができます。弦毎に独立して配置されたアルニコ5マグネットが弦振動を忠実に拾い、繊細な高音域を再現しています。

長年のPU製作のノウハウが詰め込まれたこのPUは、AWG42プレイン・エナメルワイヤーとアルニコ5マグネットの組み合わせで、まるで耳元で鳴っているかのような艶と立体感を持ちながら、指先のニュアンスに繊細に反応します。

G社のギターはリアPUがブリッジに隣接しています。このPU位置ではアルニコマグネットが捉える弦の振動幅が小さく、音が細く感じられることがあります。